絵は人間の本能としての自分表現の一つです。ゴッホやモネなどに代表される画家の絵にも色々なメッセージが込められ、分析されてきました。
絵は言葉以上に心の中を映し出すもの。子どもや、言葉表現の難しくなった高齢者の方の心の声を聴く手段の一つです。
アートセラピー(絵画療法・芸術療法)の起源は1940年ごろだといわれています。おもしろいことに、イギリスとアメリカで同時期にスタートしたようですね。
画家が結核の診療所や精神病院などの患者に絵を描かせることで、治療効果がみられたところから、アートセラピーは発展していきました。
アートセラピーはこの後、アメリカ、イギリス、フランスなどで、治療の場に積極的に取り入れられます。日本におけるアートセラピーの歴史はそれより遅く、戦後に発展し、また欧米諸国にくらべて知名度も低く、最近までほとんどの方は知らなかったのではないでしょうか。
日本におけるアートセラピー
日本では、アートセラピーは新しい分野のセラピーであり、学問としてはまだ確立していません。そのため、アートセラピーを学べる資格が複数あり、「どんな知識・技術を習得して、どのように働きたいか」を考えて選択する必要があります。その分、大学などよりもハードルの低い養成講座や通信講座の受講によって、アートセラピーを学ぶことができるため、興味をもった人が学びやすい環境は整っています。
資格取得後は、自宅でサロンのような形で教室を開いたり、教育機関や民間企業、ボランティアなどでアートセラピーを行ったり、さまざまな場で活かすことができます。
心理的な傷を癒す
この効果があることがわかったことで、アートセラピーは発展してきました。心の傷はカウンセリングなどの場で、カウンセラーに注意深く聴いてもらうことで癒すこともできます。けれども「言葉にできないモヤモヤしたもの」があった場合、どう表現していいのか困ってしまうことがあります。
とくに感情は、どう表現していいのかわからず、抑圧されてしまうことが多くあります。そういった場合に、非常に有効とされているのが、アートセラピーです。