箱庭療法とは言葉にならないこころを表現し、成長や理解につながる心理療法です。
セラピストが見守る中、クライエントが自発的に、砂の入った箱の中にミニチュア玩具を置き、また砂自体を使って、自由に何かを表現したり、遊ぶことを通して行われます。
通常、箱庭療法だけを独立して行うことはなく、言語的面接や遊戯療法のなかで、適宜用いられる方法です。
この療法では、砂やミニチュア玩具のイメージを活用してアイデアを広げ、上手下手ではなく、具体的な現実生活に近い表現から抽象的な非現実的な表現まで可能です。よって、言葉にならない葛藤、イメージを表現しやすいのです。
また、意識していることだけでなく、気がついていなかった自分の心身の状態や動きが直接的に感じられ、自分の心の中との対話・対決へと通じ、自己理解と人格的変容が促されます。
子どもから高齢者まで、自己啓発の目的から神経症、心身症、パーソナリティ障害などにみられる心理的課題まで、幅広く用いられていますが、実施については、クライエントとセラピストと相談しながら進めます。
箱庭療法は、1929年にローエンフェルトにより、子どものための心理療法として考案され、教えを受けたカルフがユング心理学を取り入れ、大人にも効果があるものとして発展させました。
心理学者 河合隼雄が、カルフから教えを受け、日本に導入しました。
カウンセラーの態度と回数
「この砂と玩具を使って、なんでもいいから、作ってみてください」などと言って、自由に表現するのを見守ります。
「これは何々を示していますね」などと、解釈はせず、鑑賞するような態度を持ちます。
1回きりで終わらず、時間をおいて、回数を重ねることにより、成長やこころの状態を感じ取りやすくなります。
アートセラピーなど、他の療法との違い
箱庭療法は、遊戯療法と絵画療法の間に位置します。
遊戯療法では、成長の課題やこころの状態をイメージで把握しにくいですが、箱庭療法では、視覚でイメージを感じとることができます。
絵画には、上手い下手があるという思いがあり、抵抗がある方がいますが、箱庭は、玩具を置くだけなので、ハードルが下がります。
また、立体的な表現をすることができるのが特徴です。